経営の相談を、たまに受けるんだけど、だいたい、こういうことを聞くようにしているんです。
『社員の給料、何ぼ出しよん?福利厚生は、どんなんしよん?』って聞いて来ました。
理由は、商売や経営の課題を解決したいから相談しに来る訳です。
課題解決には、社長の考えに、社員が理解と納得、そして意氣に感じて取り組まないと、
できゃぁせんですから中小零細企業は。
社員が、社長の考えを理解しようとする心構えというのは、
社長に対する、人間的信頼感と、自分の生活が、まぁ一応文化的な生活が出来得る、
収入の安定があって初めて成り立つもんです普通は。
『社員の給料何ぼ出しよん?』の返事が月給18万とか20万というのが多いんです。
しかも30歳代、40歳代での給料ですよ。高校の新卒新入社員の月給なら分かるんだけどね。
25万、30万出してても、完全週休二日でないし、年間の勤務時間は長い所が多いですね。
で、福利厚生が、社員が安心感が湧き、有り難いなぁ、と感じてくれるものが無いんですね。
月給18万や20万では、社会保険、所得税や、市町民税を天引きされて手取り、いくらでしょう。
(市町民税も給料から天引きしてあげた方が本人に税金の納付書が来なくて良いですからね。
『手取り』というのは社会保険料、所得税、雇用保険料、市町民税を天引きした額ですから)
手取り14万か15万ですよ。社長の皆さん、想像してみて下さい。
普通これじゃ、気持ち穏やかに生活が出来得るお金じゃないです。
家賃払って、一ヶ月の食費や、ちょっと値の張る外食なんて、ようせんと思うし、ガソリン代や携帯代、
散髪代は要るし。保険や、わずかな貯金さえ出来ない。
社員の立場になったら全身全霊で、中々仕事出来ないと思うんですね。
自分が、手取り14万や15万で一ヶ月生活してみてん!と言いたくなるんよね。
いくら、会社の方針を熱く語っても、自分の生活に心の余裕が無い状態で、社員の潜在能力は発揮できない。
『潜在能力』の発揮ですよワシが言うとるのは。
脳のメカニズムというのは、そうなっているんじゃないかと思うんです。
香川県でちょっとええ家住んで家賃10万やったら、残り4~5万では生活できないから、
ちょっとええ家なんて住めない。
ワシの体験ですが、30代、40代前半の時、勉強会後の懇親や、誰かと晩飯食べた後に、
よくスナックへ飲みに行っていたことがありました。
その時に、昼どこかに勤めていて夜バイトに来ている女の子によく聞いていたことがあるんです。
『ちょっと教えて、お昼の会社で手取り何ぼあったら夜バイトに来てないか?勉強の為に聞きたいんよ。』と。
ワシの体験では、ほとんどの女の子が、こう言っていました。
『手取りで20万あったらバイトには来てないかなぁ。』って。
そこでワシは『普通の女の子は、手取り20万あったら、夜バイトには行かんもんなんや。
ということは月給25万で、手取り20万やな。よし!一年後にうちの女性社員の給料25万にする。
業績が上がってなくても、借金してでもやる!』と心に決めたなぁ、という事を、思い出しました。
そして25万にし、その一年後には28万にしました。
福利厚生は医療保険も全額会社が掛けているし、退職積立金は勿論それ以外に医療保険付き積立金も掛けて、
その他諸々、ある意味『至れり尽くせり』に近いかなぁ、うちは。
社員一人当たり、年齢差がありますから年間60万~70万です。月額にすると5万~6万ですよ。
年間休日は約130日で一ヶ月150時間勤務ですから、時給換算したら、
最低でも2400円でしょうかエモーション社員は。
一人自由出勤のパート社員が居ますが、時給千円で福利厚生が月額約37000円です。
一ヶ月平均30~50時間勤務だから、時給換算したら約1700円~2200円ですね。
パート社員で、しかも自由出勤(家庭の事情で、そうしています)
で、この額は中々無いんじゃないかなぁ。
利益上がったら給料上げたい。と言う社長はまぁまぁ居るんですがホンマかなぁ?(笑)
と思う人も居ますけど。
社員と取引するな!がワシの実践なんよね。
取引関係からは信頼関係は、中々生まれないという価値観なんですよワシは。
社員が、文化的な生活が何とか出来る月給までは、借金してでも、してやれ!と、
相談された人に言うことはありますね。
日本の女性の正社員の平均年収は280万~300万だそうです。
年収ですから賞与を支給している会社は賞与も含んでいますから。
月額に換算したら、23万~25万ですよ。これ、大企業の社員や給料の高い東京等、
都市部の人達も入りますからね。
一般的な『県』だったら、もっと安いんだと感じますね。
社員数百人未満の会社の社員の平均年収が、380万だそうです。
月額に換算したら、約32万ですよ。これも全国平均ですから東京や物価の比較的高い都市部の会社や、
年収800万以上のサラリーマンも入っての平均ですから。
たぶん勤務時間長いと思うし、年間休日も多くはないんじゃないかと思います。
で、先ずほとんどの会社が、福利厚生の充実なんて、ほど遠い。
ワシの価値観は、社員の給料や福利厚生は、建築建物で言う『耐震構造』です。
そして会社の『資産』だという捉え方をせないかんと思うんやけどねぇ。
『経費』とは違うという捉え方をせないかんですよ。
だからワシは社員の給料のことを『人件費』と言うのが好かんのです。
また会社の『土台』ですよ。
土台が確りして初めて会社の理念や方針を、実現して行こうという
気持ちが自然と培って行くんじゃないかと、ワシは思うのよ。
そこを疎かにして業績を上げていても、ワシは『砂上の楼閣』になってしまうと思うんだけどねぇ。
砂で作り上げた城ですよ。
やがて崩れて行くで!と、相談受けた社長達に言うているんです。
銀行にも、よく言うんですよ、こんな風に。
『社員の安月給の上に成り立っている会社の利益は、ほんまの利益ちゃうよ。
よぉ~けあるよ、そんな会社。そんなとこに金貸してたら、将来の不良債権になるで。
社員の待遇が文化的生活が出来得るもので尚且つ、
会社の利益を上げているか?をよぉに見ないかんよぉ。』って(笑)
ワシは銀行を誘導するからねぇ(笑)
会社は、先ず飯が食えるようにせないかんのです。
社員が『文化的に飯が食えて無い状態』で、何で、人を雇うんか?
安月給だから、社員数雇えている会社って、多いんですよ。
ワシは、そんな事ようせんわ、ほんまに。
手が足りないから求人する。ってワシの脳裏には、全く有り得ない行為です。
『会社は家族』という価値観ですから、安易に家族には出来ませんからねぇ。
先ず、雇う社員を心情的に一生面倒見てやりたい。と思える人間性を感じないと、
ワシはマザー・テレサのような人格者じゃないですから、家族(エモーション)の一員には、ようしません。
あと、一人雇うということは会社の粗利が安定継続して、現状の年間粗利額より、
年間420万は余分に稼ぎ出せていないと、雇っちゃいかんような気がします。
3人雇うなら年間1300万くらいの安定粗利が見込めてないと、ね。
10人雇うなら年間4~5千万の安定継続粗利。
また、社長である自分の考えを理解し、納得してもらえる素養というか、相性というか、
一生守ってやりたいと思える人間なのか?
業務能力より、人間性の方が、中小零細企業には、大事やと思うんです。
よく『社長の仕事は何でしょうか?』って、質問されることがありますが、
ワシは決まってこう答えています。
『継続的に儲かるビジネスモデルを構築しながら、
社員が充実した人生を歩めるよう導いて行くことやというのが信念でやっています。』と。
『会社は、先ず飯が食えるようにせないかんのです。』と言いましたが、
飯がまあ食えるようになったら、次は文化的な会社生活や個人生活が出来る、
教養を身に付ける勉強をせな。
そして『より崇高な精神』に高めて行かな、つまらん!じゃないですか。
一生いっぺんなんやから。
社員の皆さんも、生活費を稼ぐだけの会社生活なら、ほんまに『つまらん!』人生に陥るよ、
と言いたいのよ。
社業を通して、何か『より崇高な精神』を培って行かんと、ね。
あと付け加えて言いますね。
社員の因縁を被るのは社長、あなたなんですよ。好まなくても、因縁被るんです。
因縁って、そうなっているんですよ。信じる信じないは勝手ですが。
子供の因縁は親に来るんですよ。だから、知らず知らずのうちに親が被ってくれて来てるんやから、
『すまんなぁ。有り難いなぁ。』と思って、親孝行した方がええと思います。
社員数が多くなれば成る程、全ての社員が受けて来る因縁が社長に覆って来るんですよ。
社員の人数が増える、事業が大きく栄えることは、
それだけ社長に因縁が寄っていると言うことを自覚せないかんのです。
人を恨んだり、憎んだり、妬みの感情を抱いたりすると、自分の可能性を包み込んでしまうんです。
自分を包み込むことを『罪』と言うんです。神道では。
社員の知らず知らずの『罪』の因縁を好まなくても、被るんです。覆って来るんですよ。
だから、社長は常に、その因縁を祓う日常を心掛けることが大事なんですね。
だから、社長に金が貯まっても、お金以外で不幸な人、ようけ居りますよ。
人間性が嫌われるとか病気で困るとか、社長の身内に悲しいかな、不幸が覆って来る。
まぁ神社に参拝して、感謝の念を述べるとかした方がええですよ。
少しは『お祓い』に成るかも、です。
社員の皆さん、あなたの因縁を大なり小なり社長が被ってくれている。
ということも少しは胸に留めて下さい。
そして社長の皆さん。
経営の方針を立てて、日々業務に勤しんでいると思いますが、
ワシは24年くらい前に『経営根本精神』というものを経営指針書に明記しました。
うちの経営指針書に明記している『経営根本精神』は、こう書いています。
『経営は人間学』と。経営は人間学とは、経営をするということは、社業を通じて、
人間とは何者なのか。つまり、人間が幸福に生きるとは、どういうことなのか。を探求しながら、
その人の持って生まれて来た役割を職場という舞台で果たして行くことだと考えています。
持って生まれて来た役割のことを『天命』と言う。
『私の天命は?』と、他人から聞いて納得出来るものではない。
況(マ)してや、占い師に聞いて、納得出来るもんではないんです。
そういうのは、若干の参考にはなるでしょうが、自分の心の中の『もう一人の自分』と深く向き合い、
考え抜いて、自分の体験を通じて、血へどを吐くくらいの思いの上に於いて、
『これしか生きる道はない!』と、追い詰められてこそ、初めて『天命』が自覚出来ると思う。
というワシの価値観です。
『重点主義とは、やらない事を決めること』と、うちの師匠は昔、言うてますが、
人生に置き換えると、『これしか生きる道はない!』と心底自覚できた人は天命を悟るかも?ですね。
会社経営も人生経営も単に、経営方針だけでは、やっぱり薄っぺらいんですよ。
根本精神を、考え抜いてみて下さい。
人間としての生き方は社長も社員も、
お互いが根本精神というものを見出ださないと魂が躍動せんと感じるんです。
今週は、この『あなたに根本精神はあるんか?!』を投げ掛けますね。
CM の『こんの!そこに愛はあるんか?!』ですよ(笑)